クラゲの「Tシャツブランドインタビュー(番外):ice-mix編」
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クラゲの「Tシャツブランドインタビュー(番外)」

Tシャツブランドインタビュー第24回目は「ice-mix編」です。

ice-mixのサイトはこちらです
ice-mixのサイトはこちらです

第24回目のブランドインタビューは番外編で「ice-mixさん」です。

最初に今回が「番外編」の理由から。以前にファッション系出版社による「e-T」というTシャツポータルサイトがありました。色々なインディーズTシャツを購入できたり、Tシャツに関するコンテンツを紹介おりまして、その中に「Tシャツブランドインタビュー」というコーナーもありました。

クラゲとは違った視点でブランドさんに切り込んでいた非常に面白いコンテンツだったのですが、事情により「e-T」は閉鎖してしまい、Tシャツブランドインタビューの「ice-mix」分が途中までの更新に…。

クラゲの周りでも「ice-mixのインタビューの続きってどうなったんでしょうね?」という声を耳にしたり、それ以上にクラゲ自身が続きを読みたかったので、e-Tのスタッフの方と交渉し、完全版インタビューを東京Tシャツ部にて掲載させていただくこととなりました。

ということで、以下のインタビューはe-Tのスタッフの方がインタビュアを行ったもので、クラゲはまったくタッチしていないので「番外編」とさせていただきました。

インタビュー原稿の完全版転載の許諾をしていただいたe-Tのスタッフの方には本当に感謝感謝です。ありがとうございます。

ice-mixインタビューの続きが気になっていたTシャツっ子も、そうじゃない方も是非ご覧ください。


[第24回目] 「Tシャツブランドインタビュー(番外)」〜ice-mix編〜 (「e-T」掲載分の全文転載です)

ice-mix/宮城
沖縄県出身。3DのCGデザイナーとして、ゲーム会社、映像制作会社に勤務し、WEB・3DCGデザイナーとして03年に独立。翌年、COOL&FOOLをコンセプトにしたTシャツブランド「ice-mix」を立ち上げ、幅広いデザインテイストの商品を制作している。

愚痴を言うばかりの生活は嫌だ!まずはWEB・CGデザイナーとして独立

もともとは、3DCGのデザイナーでした。前回登場した、「レッドバズーカ」の中井さんと一緒ですね。僕の場合は、デザイン学校で勉強した後、20代前半に渡米して、約2年ぐらい勉強しながら働き、帰国後何社かを渡り歩いて修行、その後ゲーム会社に入りました。そしてその会社が・・・本当に忙しかったです。

納期が近づくと缶詰になってしまって、とにかく帰れない。サーバルームで寝袋にくるまって仮眠、なんて日常でした。好きで始めた仕事なのに、同僚と顔をあわせれば、「疲れた」「辞めたい」なんていう愚痴ばかり。それに、やっているデザインは基本的にクライアントのイメージを、形作るためのものだから、「他人の想像のお手伝い」でしかない。

自分のために、自分の好きなデザインがしたい、そして何よりも身も心も壊れてしまったらかなわん、という思いから、結局2年目だった2003年、28歳のときに後先考えずに辞めてしまいました。─ここらへんも中井さんに似ているかなあ?(笑)

辞めて何をやっていたかといえば、知り合いのデザイナーを手伝ったり、アメリカ時代にお世話になった社長さんのプロジェクトを手伝ったりしていました。そのうちに、だんだんと色んなコンピュータグラフィック会社のトップの人とお話しをする機会が多くなり、「これで人脈を築かないなんてもったいない!」とある日気がついて、あわてて名刺を作って屋号を決めました。

知らないうちにフリーのデザイナーとして、独立していたようなものですね。でも、出来上がった名刺を見たときに、初めて「俺、ひとり立ちしたんだ」と自覚しました(笑)。


3DCGは作るのも見せるのも大変。でも、Tシャツはどちらも手軽!

幸運に恵まれて独立はできたものの、自分の好きなデザインを作り、それをお金にする方法は、しばらく見つけられませんでした。何を媒体にして、自分のデザインを表現すればいいのかを、常に考えてはいたのですが・・・。与えられた仕事だけをこなしている状態が、何ヵ月か続きました。

Tシャツにたどり着いたのは、本当に偶然です。というか、あまり覚えていないんですよ。多分、雑誌でネット販売をしているTシャツを見たんじゃないかな?3DCGは1分モノを作るだけでも数ヵ月かかってしまうし、見せるときもわざわざモニターの前に人を連れていかなきゃいけない。

でもTシャツなら、比較的短い時間で1つのデザインを完成させられるし、着ている人をひと目見れば、もう楽しめるし評価ができる。これはすごい!と思いました。

それに、1分の3DCGを3000円払って自分のものにしたいという人はまずいないけど、Tシャツならばいる!商売的に充分なりたつと踏んで、Tシャツ屋を始める決心をしました。


お正月に思い立ち、短時間でサイト作成!でも、なかなか売れず苦悩の日々

Tシャツ屋を始める決心をし、周囲に「俺、Tシャツ作るんだ!」と言って回ったのですが、行動をなかなか起こせず、最初は本当に口だけでした(笑)。でも、2004年の年明けに「あれ?もう新しい年のお正月?俺、Tシャツ屋やるのに、去年何もしなかったじゃん!」と急に思い出して、メチャメチャ焦って。その日のうちにice-mixって名前を決めて、すぐにドメインをとり、2月にはサイトをオープンしました。

ただ、「何もしなかった」と言いつつ、Tシャツのデザインだけは、コツコツ作り始めていました。サイトを立ち上げたときには、50作以上あったんじゃないかな?でも今思えば酷いレベルなんです。90%以上、お蔵入りしました(笑)。

最初に売り出したTシャツは4作。世界地図に、沖縄の場所をポインティングした「ホーム」、プロレスシリーズの3作「コブラ ザ ツイスト」「キャメル ザ クラッチ」「パイル ザ ドライバー」がそれです。プロレスシリーズは、それぞれレスラーが、コブラにコブラツイストしているところ、ラクダにキャメルクラッチをしているところ、ドライバーにパイルドライバーをかけているところを、イラストにしたもので、いわゆるバカTです。

BSのTV番組で取り上げられたりして、やたらサイトへのアクセス数が増えたりしたんですが・・・これがぜんぜん売れなかったんですよ!(笑)プロのデザイナーとして仕事をしてきたから、ある程度の自信はあったんですけど、もう打ち砕かれましたね。


お客さんにウケのいいものは?何を作っていいのかわからない日々

結局、初めてTシャツが売れるまで、サイトオープンから1ヵ月くらいかかったと思います。何がいけなかったんだろう?冬場にTシャツは売れない?デザインが悪かった?知名度がないから?・・・とにかく悩みました。周りの友達にどういうテイストのものが売れるかを聞いて回りましたし、お客さんに媚びたものを作ろうと、悶えていました。だいたい、5月くらいまで苦悩していたのかなあ・・・。

でもある日ひょっこりと、「なんで『楽しいことをしよう、好きなデザインを作ろう』と思ってTシャツ屋を始めたのに、俺は悩んでいるんだ?」って思ったんです。自分で勝手に、思うままに作っているだけなんだから、そのワガママをお客さんに買ってもらおう。それが一番楽しいはずなんだって、気がついたんです。その時点でいきなり完全に吹っ切れ、傍若無人なブランドとして、生まれ変わりました。

しかもそのとき、1ヵ月後がちょうどTシャツラブサミットだったんで、急いで新作を12作デザインして、初参加したんです。今、うちの看板Tシャツである「ガチャT」もこのときの作品です。そしたら、何故か「ガチャT」は1枚しか売れなかったんですが(笑)、その他はすごく好調で、受け入れられて、お客さんの反応も感じることができて、周囲とも仲良くなって、大成功でした。そしたらサイトの方も、リピーターがじょじょに増えてきて、今の ice-mix の基礎ができました。


デザインに対する思いを込めたブランド名〜統一できないポリシーが特徴

ice-mix とは 「I Create Entertainment MIX !!」 の略です。人生にさまざまなエンターティメントをもたらせたい、という思いから名づけました。

ice-mix の特徴は、さまざまなテイストのTシャツがあることです。一応、 COOL&FOOL がコンセプトということになっているのですが、「SPAM」や「ホーム」などの沖縄系といわれるTシャツもあるし、プロレスシリーズのようなバカTも、「アイ ラブ」や「バード」のようなメッセージ性の高いTシャツもあります。

僕がもし仮に誰かから、「今度、Tシャツブランドを立ち上げたいのですが、何に気をつけたらいいですか」と訊かれたら、「デザインポリシーやテイストは統一した方がいいよ」と言うでしょう。でも実は、ice-mix 自身がそれを守れていません。

常に僕は、「自分の頭の中に浮かぶものを出し切りたい」という思いを抱えているので、どうしても多種類のデザインが生まれてきてしまうんです。また、古いデザインを越えたクオリティのものを作りたい、とも思っているので、同じことの繰り返しではなく、出きるだけ新しい挑戦をするようにしています。

僕は、「こんなのありえない!」ってお客さんに思われたいんです。「誰かの手」というTシャツがあるんですが、個人のブログで「こんなTシャツを作る人は、普段どんなことを考えているんだ!?」って書かれていたんですが、これって、個性があるっていう意味では、最高の褒め言葉に聞こえませんか? すごく嬉しかったですね。


ガチャTに対する思いと、“ありえない”ことへの挑戦

ガチャT」は、売り始めてから3ヵ月後にフジテレビ公式Tシャツになりました。ラブサミ時には、一番売れなかったTシャツだったのに、すごいことですよね。見えない何かに、ひっぱられたような気がします。

でも、「『ガチャT』のice-mix」といわれるのは、ちょっと抵抗があります。初参加だった2004年のラブサミで売り出したTシャツですから、もう3年も前の作品なんです。確かに僕の代表作だけど、初期のものだけに、越えなきゃいけないものですから・・・。

ただ、「本当のガチャピンまで巻き込んだ」という事実は、普通なら“ありえないこと”。「こんなのありえない!」って思われたい僕としては、これからも同じくらい“ありえないこと”を追求していきたいです。

ネットランナーとのコラボT「謝罪要求書」も、ありえない作品ですよね。これは、月刊誌「ネットランナー」にうちのサイト画像が無断掲載されていたので、謝罪要求書を送ったんですが、僕の書いた文面を裏面に、ネットランナーの編集長直筆の回答を表面にプリントしました。

結果として、ネットランナーの読者プレゼントになったりして、バカ売れはしなかったけれど、話題にはなりました。僕には、売り上げがUPするよりも、面白いものが作りたいという思いがあるのですが、これなんてその典型かもしれませんね。


プロのTシャツ屋であるということ。デザイン以外への気構えについて

Tシャツは、作るだけならすごく簡単だと思います。今なら、パソコンも含めていろいろな環境が整っていますし、「Tシャツを作って、ネット上で売る」っていう行為は、とても敷居が低いです。最近では、デザインができないのに、表現したいものがないのに、とりあえず作ってみたという人も、たくさんいるようです。そういう人を責める気はないのですが、やっぱり、続かないことがほとんどなようです。

Tシャツを作ることと、ブランドを維持することって、まったく違うんですよね。サイトは、お客さんが見やすいレイアウトにしなければいけないし、申し込みがあったら迅速・丁寧に対応しなきゃならない。クレームだって、親切に聞かなければお客さんは怒ってしまうし、経理をしっかりしなければ、新作を出す費用が捻出できない。

つまりは、「Tシャツをデザインする」ということ以外に、運営としてたくさんのことをやらなければいけないし、僕も含めたいていのデザイナーはそういったことが得意ではないので、すごく苦しいと思います。

でも、自己表現の場としてTシャツを選んだのであれば、その苦労も受け入れないといけないんですよね。そして、お金を払うお客さんにとっては、大手もインディーズも同じ。プロフェッショナルに徹して対応しなければいけないと思います。「大手ではないから」などと、甘えてはいけないと、自戒も込めていつも思っています。


将来は、Tシャツ以外のデザインも興味あり。企業・人とのコラボは、現在進行形で面白い

10年後、自分が何をしているかですか?うーん、ice-mix というブランドは残したいけれど、Tシャツを作っているかどうかはわからない、というのが本音です。

やってみたいのは、Tシャツから発生した、Tシャツ以外の媒体の制作かなあ・・・。例えば、映画がまずあって、その後その映画のTシャツを作る、というのはよくあるパターンですよね?でも逆に、Tシャツがあって、そのTシャツに何らかのコンセプトがあって、その後そのTシャツのコンセプトにしたがって映画やグッズができたりっていうのは、面白くないですか?何らかのキャラを立ててもいいですけど。

また、身近にあるもの、持ち歩けるもののデザインもしてみたいですね。携帯ケースの着せ替えとか、生活雑貨とか。今、色々な物をパロディにした、フリスク・ケースを売っているんですが、そういった細々したもののデザインは面白いです。

また、今、企業とのコラボレーションをよくしているのですが、「制約があるから面白い」ということを感じます。枠の中ギリギリで、僕の個性をいかに出すか、というのはやりがいがあります。あ、もちろん個人のクリエイターとのコラボレーションも面白いですよ。例えば、「フィッシャーガール」というTシャツは、僕の好きな「花蟲」というサイトとコラボしたのですが、独特の世界観をTシャツにできて、とても楽しかったです。

これからも ice-mix は、プロフェッショナルに徹しつつ、好き勝手なものをお客さんに提供したいなあと、思っています(笑)。どうか皆さん、宜しくお願いいたします!


対談はこれで終わりです。

e-Tのスタッフの方によるインタビューなのですが、ice-mixさんの「過去・現在・未来」が余すことなく引き出されていて読み応えのあるインタビューでしたね。

ブランド運営の苦労はあまり表に出てこない話題なのですが、ここでは語られておりますね。「好きなことをやる」と「ブランドを維持すること」の間で悩んでいるブランドさんには参考になるのではないでしょうか。

ということで、今回ご協力いただいた「ice-mix」のサイトはコチラ。このインタビューを読んだ後にTシャツを見てみると、新しい発見があるかもしれませんよ。

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