第145回目「Tシャツブランドインタビュー」~ マニアパレル(前編)

第145回目のTシャツブランドインタビューは「マニアパレル(前編)」です。

マニアパレルのサイトはこちらです

 マニアパレル
 http://blog.livedoor.jp/r2koba/


今回のインタビューは マニアパレル さんです。

工場、ダム、巨大建築物等をモチーフにTシャツをデザインしているマニアパレルさん。工場萌えのクラゲが今一番お話を伺いたかったブランドさんについにインタビューを行うことが出来ました。

今回は超ロングインタビューのため、Tシャツインタビュー初の「前編」「中編」「後編」の3回に分けてのお届けとなります。

今回は「前編」をお送りします。

マニアパレルをはじめたキッカケ、工場萌えクラゲとの萌え談義、「シェフの気まぐれシステム」なデザイン手法、どうして全国展開できたのか、ブランド名の由来、などについて伺いました。

さて、今回はどういうお話が飛び出すでしょうか?お楽しみに。

第145回目「Tシャツブランドインタビュー」~ マニアパレル(前編) (2012/5/12 収録)

――きっかけは、周りから押されて?

クラゲ : 今日はよろしくお願いします。

BAD_ON : マニアパレル(maniapparel)の BAD_ON です。よろしくお願いします。

クラゲ : マニアパレルさんは今年でブランド何年目ですか?

BAD_ON : 今年で「5ヶ年計画」達成です。って言っても、計画とか立てたコト無いですけど(笑)。もともとブランドをはじめたキッカケは「団地イベント」のゲストに呼んでもらったコトですね。そこで「好きなことをしゃべってるだけで、みんな拍手してくれたり、うなずいたりしてくれて、面白い世界があるんだなー」って思いまして。

イベントがイベントだけにお客さんも濃い方が多くて、その中に「ダムサイト」というサイトをやっている萩原雅紀さんがいて、今度ダムイベントをやると伺ったんです。

僕、ロゴとかデザインとか洋服が好きなので、昔から勝手にダムのいろんなロゴを作っていたんです。で、「そのダムロゴをステッカーにして、ダムイベントに来てくれたお客さんに配ろうよ」という話で盛り上がりました。そのステッカーをイベントに来たお客さんに配ったのが、一番最初の活動ですね。イベントではお客さんがすごい喜んでくれましたのを覚えています。

ダムステッカー
ダムステッカー

クラゲ : マニアの方がよろこんでくれるってのは、相当うれしいですね。

BAD_ON : ええ。自分では「モチーフがニッチだし、有名なブランドがやっているわけじゃないし、誰が欲しがるんだろ…」と思ってたんです。その後、ダム ・ 工場 ・ 水門 ・ 鉄塔 ・ 団地 ・ ジャンクションなどの土木系写真集や書籍が色々出た時期があって、著者やサイト管理人の方々の知り合いがどんどん増えていって。
お互いツボがわかり合えるってことで、そういう方々は大概面白がって「やりなよ」って言ってくれて、最初は周りから押されてはじめたようなものなんです。

そこからネット上にデザイン案を何本か上げて、投票してもらい、みんなの意見を反映して、注文してくれた分だけ受注生産でTシャツ作るっていうのの繰り返しで今に至ります。

インフラ ・ 土木 ・ 建築物 ・ 構造物とかの無機質であんまりデザインされていなく、あんまり人が注目しない可愛がられていない物を、かわいくキュートにデザインしてTシャツ化して、みんなが着てくれたら楽しんでもらえる「好き」を共有する装置が作れるのっていいなー、っていうのが、ブランドの趣旨といえば趣旨ですね。

鉄塔Tシャツ2012
鉄塔Tシャツ2012

――人造物の素晴らしさは理屈じゃない

クラゲ : 僕も工場に萌えちゃうタイプなんですよ。工場って観賞物として造られてないのに、全景を見てみると美しい造形になっているというのが、非常にすばらしいですね。無機質の圧倒感を感じます。

BAD_ON : そうそうそう。葉っぱがあの形をしているのには、植物としての意味があるじゃないですか。葉脈が生えて光合成しやすくってように。工場の煙突の蒸留塔はどうしてあの形で、あの高さで、ああいうパイプの出かたになったかってのも全部意味があるんですよ。

実用的に突き詰めていくと、結果、自然物のような美しい形ができているっていうのが素晴らしいです。魅力はこれに尽きますね。

クラゲ : 人工物で造った、そうせざるを得ない自然物みたいな形。

BAD_ON : そうなんですよ。だから人工物であっても、ほぼ自然物のようなものなんですよ。突き詰めていったらこうなっちゃった。それが集まると見ごたえがあるっていう見方に気づいて。自分の中で気持ちをつかまれない限り、こんなに熱狂しないですよね。

クラゲ : 僕も工場見ているだけで何かグッとくるんですが、何に対してグッときているのか聞かれてもよくわからないんですよ。けど、なんかいいんですよね。(笑)

BAD_ON : そうそう。理屈じゃないですね。一目惚れってそいうもんだと思うんで。理由は後から言えます。いくらでも。



――Tシャツデザインは「シェフの気まぐれシステム」

クラゲ : 初めて作ったTシャツが売れた時の感想を教えてください。

BAD_ON : 自分が考えたデサインのTシャツを、お金出して買ってくれるっていうのが信じられなかったし、嬉しかったですね。その場で着てくれる人もいて、それを見て「うわぁ、こっちもテンション上がるわ」って思って。ありがとうございますって言いながら、いちいち握手しちゃったりとか(笑)。感謝の気持ちは毎回感じます。

クラゲ : Tシャツ作る時は、複数のデザインをブログにアップして、そこから投票を募って製品化するんですね。

BAD_ON : そうなんです、優柔不断なので(笑)。とにかくみんなに投票に参加してもらいたいんです。好き勝手に投票頂いてみんなの言う通りにしたけど、全然売れなかったりとかでもいいですし。みんなに投票して頂いたけども、やっぱり僕はこれがいいのでこれ出します、みたいなのも時にはあって、非常にアバウトなんです。「シェフの気まぐれシステム(笑)」でリリースが決まるんです。最終的には独裁者の意見なんです。

でも、投票は本当に参考になりますね。これが一番人気出ちゃうんだろうな、っていうデザインが意外に売れなかったり。絶対これあり得ないっていうデザインに、ものすごい熱狂的なメールがきたりとかしますし。

高速道路フォントTシャツ
高速道路フォントTシャツ

クラゲ : Tシャツはどれくらいの期間をかけてデザインされるんですか?

BAD_ON : 早いければ2時間位です。誰かが「こういうの、BAD_ONさん作って」って言ったら、その場でデザインしてアップして、はやっ!みたいな感じです。一方、練りに練って、半年間くらいずっと練りに練っているのもありますね。

クラゲ : 2時間!その早さはリクエストした方がびっくりするんじゃないですか。

BAD_ON : 「仕事早っ!」って言われます(笑)

クラゲ : Tシャツのモチーフはどうやって決めてらっしゃるんですか?

BAD_ON : よく考えたことないですね。こういうのモチーフで作ってくださいっていうリクエストに反応する時もあれば、歩いていたり、旅行行ったりしている時にひらめくこともあるし。

例えば、古い団地の裏側を見ると、ダクトだらけで「うわぁ、B面だー」って思うんです。街のA面よりB面の方が圧倒的に面白いですよね。A面はいい景色で、B面は生活感があって。B面がリアルだよなって思います。そう感じたときに、Tシャツをデザインしてみようかな、と思ったりします。

団地Tシャツ
団地Tシャツ

――「家にあるもの全部持ってきて!」

クラゲ : ブログで売りはじめたきっかけは?

BAD_ON : ぶっちゃけスキルがないんでブログで運営してます。ショッピングカートとかあるちゃんとしたサイト作れるといいんですけどねー。

クラゲ : ジュンク堂書店さんをはじめとして、マニアパレルを扱っている実店舗さんも何軒かありますよね。

BAD_ON : きっかけと縁が繋がって、おかげさまで置いてくれているお店があります。四年前、ジュンク堂書店の方が僕が作っているものをたまたま見つけてくれて、その方に面白いから取りあえず家にあるものみんな持ってきなさいと言われて。

書店で扱ってもらう時は、取次を通す必要があると思っていたんですが、同人誌扱いにするから直接持ってきなさい、と言われて。いや、本屋なのにTシャツでいいんですかね…と思いながら持って行ったら、売り場にマニアパレルコーナー作ってくれてビックリしました。

最初はジュンク堂新宿店、今年入って札幌店、大阪梅田店、九州福岡店、池袋本店で、一応東西南北で日本中に置いてもらいました。弱小インディーズブランドとしては信じられない展開なんですけ
ど。

クラゲ : 僕は新宿店で見かけました。他に並んでいる書籍もマニアックな同人誌でした。

BAD_ON : 残念ながら新宿店はもう無いのですが、エスカレーターの裏ですよね。そのコーナーはジュンク堂の中の独立愚連隊っていうか、治外法権エリア(笑)だったらしく。売り物は何でもありの代わりに書店員さんが惚れこまないと置いてもらえない場所だったんです。その方に気に入ってもらえたんで置かしてもらえたんですよ。

クラゲ : 確かにあそこだけはジュンク堂でも、何か違うオーラな空間でしたね。

BAD_ON : ここでマニアパレルを見つけてはまりましたって言ってくれる人も結構いたんですよ。
こないだも「巨神兵東京に現わる」って映画のメイキング見てたらマニアパレルのアイテム身につけてる方がいてツイッターで「誰?」って問いかけたら監督の樋口真嗣さんご本人から「ジュンク堂で買いました。」ってお返事いただいて。いやービックリです。

クラゲ : マニアの一念、マニアを唸らす!ですね。

工事区間終りTシャツ
工事区間終りTシャツ

――「マニアパレル」って名前は無かったんです。

クラゲ : マニアパレルは、どこからマニアパレルという名前になったんですか?

BAD_ON : 自然発生的だったんで、最初は名前なかったんですよ(笑)。最初は「マニア向けのTシャツ作っています」って説明してたんです。そして、「Tシャツマニア、じゃなくて、マニアTシャツです」みたいなこと言っていたんですけど、言いやすい名前ないかなって考えて。

マニアなグッズで、Tシャツはアパレルだから、マニアパレルにしようかと。はじめて1年くらいの時かな。そこからマニアパ、マニアパって呼ぶようになりました。

クラゲ : Tシャツ自体にはもともと興味がありました?

BAD_ON : そうですね。お洋服は大好きですね。でも、まさか自分でTシャツを作って、それを欲しがってくれる人がいるとは、全然思ってもいませんでした。



――各国の科学者同士のTシャツ交換

クラゲ : 自分のデザインしたTシャツを知らない人が着てるってことですもんね。もしかしたら街で出会うかも知れない。

BAD_ON : 何回か会いました。新宿駅で見かけた時はについ声かけちゃいました。
そのTシャツは、筑波の高エネルギー物理学研究所からオファーいただいたヤツでフランスで国際素粒子学会があるので、日本チームのユニホームをデザインしてくれって依頼のアイテムでした。

わーっ、無茶な注文だよなって思ったんです。ちゃんとしたデザイン事務所でやってもらえばいいのにって思ったんですけど「あんただったらわかってもらえそうだから」って懇願されました。科学雑誌『クォーク』『ニュートン』や素粒子の本を読んでいろいろ勉強しましたよ。結果的に何かぶっちゃけたデザインにしちゃいましたけどねー。

国際素粒子学会では各国の科学者同士がTシャツの交換をするんですよ。サッカーのユニフォーム交換みたいに。送られてきた写真見ると世界各国の科学者が僕のデザインしたTシャツ着て並んでいて。感動しましたね。うわぁ、すげぇって。

クラゲ : しびれますね。学者の方からBAD_ONさんは俺たちと同じにおいがすると認めてくれたのかもしれないですね。

BAD_ON : 同じくくりの人間と思ってくれたんでしょうね。(笑)代理店にお願いしたら、きれいなの出来るかもしんないけど、多分マニアのニオイはこもんねえぞ、みたいな。

マニアパレル(中編)」に続く




マニアパレル(前編)はここまでです。

前編から濃いお話のオンパレードでした。特に、ジュンク堂書店新宿店の中の独立愚連隊こと「治外法権エリア」にて販売されることになったエピソードにはグッときました。

目の肥えた書店員さんが言う「面白いから取りあえず家にあるものみんな持ってきなさい」は、相当にうれしい瞬間ですね。

そして、国際素粒子学会からのTシャツデザイン依頼も、依頼する側、される側、共にマニアだからこその熱が伝わってきます。

ということで、こちらは「マニアパレル(中編)」「マニアパレル(後編)」に続きますので、是非続けてご覧下さいませ。

今回ご協力いただいた「マニアパレル」の公式サイトはコチラ。

 マニアパレル
 http://blog.livedoor.jp/r2koba/

このインタビューを読んだ後にTシャツを見てみると、新しい発見があるかもしれませんよ。

あわせて読みたい