第13回目「Tシャツブランドインタビュー」~まぼろし洋品店編

Tシャツブランドインタビュー第13回目は「まぼろし洋品店」です。

まぼろし洋品店のサイトはこちら


第13回目のブランドインタビューは「まぼろし洋品店」。

レトロ風味のTシャツを販売されているサイトなのですが、そのようなTシャツを販売するに至った理由や、どのようにしてネット通販を軌道に乗せたかなどについて店長の田端さんにお話をお伺いいたしました。

どのようなお話を伺えるのでしょうか?

第13回目「Tシャツブランドインタビュー」~まぼろし洋品店編 (2005/10/8収録)

クラゲでは、よろしくお願いいたします

まぼろし洋品店 田端: 宜しくお願いいたします。

クラゲ最初にブランドの自己紹介をお願いいたします

まぼろし洋品店 田端: はい、「まぼろし洋品店」と申します。大正時代の登録商標のTシャツ「幻影商標」シリーズを中心に、レトロ系全般のTシャツをネットで販売しているTシャツ屋です。

クラゲまぼろし洋品店さんですが「大正時代の登録商標」という代表作で、面白いところに目をつけられたなーと思ったんですが、こちらのTシャツを始められたきっかけを教えていただいてもよろしでしょうか?

まぼろし洋品店 田端: 10年ほど前に神保町の古本屋で大正時代の登録商標を沢山載せた本が売っているのを見つけまして、大変高価な本でしたが、その頃は昔の商標に興味をもっていた時期だったので、即購入しました。

その後、ずっと家の中で忘れられていたのですが、バイト先の出版企画会社でTシャツをネット販売する事業が立ち上がることになったので、その本のことを思い出してTシャツにしました。

クラゲそもそも「商標」に興味を持ったのはどうしてですか?僕は最初にまぼろしさんのTシャツのデザインを拝見したときに「大正時代のデザインなのに、古臭くなくてかっこいいなぁ」って思ったんですよ

まぼろし洋品店 田端: 実は昔から古道具屋とかを回るのが好きで、そういう物を集めていると、変わった商標を付けたものが多いんですよ。当時、見つけた古い雑誌広告で「メガネ印肝油」というのがありまして、「メガネと肝油って全然関係ないじゃん!」って突っ込みを入れたくなるほど気に入ってしまって。その「メガネ印肝油」について掘り下げたミニコミまで作ったりしました。

また、荒俣宏さんが『広告図像の伝説』(平凡社)という商標研究本を出していて、それを読んだのもキッカケの一つですね。

クラゲほー。昔から古いものに興味があったということですね。会社でその企画が持ち上がって、提案をしたときはどのような感じだったんですか?「これはいけるかも」って思ってらしたんですか?

まぼろし洋品店 田端: いや、最初はみなさん半信半疑だったんですが、その本を読み込んでいったり会議を繰り返していくうちにだんだんハマっていった感じです。これは面白いぞと。最近は社長自ら幻影商標シリーズの絵柄を選ぶこともあります(笑)。



クラゲ最初はどのような形で販売されていたんですか?

まぼろし洋品店 田端: いや、当初はネット通販のみでした。しかも運営している「まぼろしチャンネル」というウェブサイトのメルマガ読者だけがターゲットでした。

クラゲ販売されてみて最初はいかがでしたか?

まぼろし洋品店 田端: いや、まったく注文がこなかったです(苦笑)。最初の月が1ヶ月でたった2枚。しかもお客は内輪の人のみ。

クラゲそこで売れ始めたきっかけはどのようなものだったんですか?

まぼろし洋品店 田端: 商標シリーズとならんで、うちのメインシリーズで「中根ケンイチシリーズ」があります。2ヶ月たってもまったく売れないので新シリーズをやろうということになりまして、知り合いのイラストレーター・中根ケンイチさんにレトロ系のTシャツデザインをお願いしたら、ちょうど銭湯の PR 雑誌でインタビューの話が中根さんに舞い込んだので、そこで「銭湯オヤジTシャツ」をとり上げてもらおうということになりました。

その記事が掲載されたら、見事に反響がありました。電話やメールなど計50枚近い注文がきたんです。これが売れ出したキッカケですね。その後、店名がネット上に載り始めたんです。

クラゲでは、それにひっぱられて、他のTシャツも売れ始めたって感じですか?

まぼろし洋品店 田端: ブログに「銭湯オヤジTシャツ」のことを書いて下さった方が沢山いて、他のTシャツも面白いみたいなことを書いてくださったんですよ。それで、銭湯オヤジのTシャツの注文と合わせて他のTシャツも注文が来るようになりました。

あと、その直後、東京Tシャツ部さんに広告を載せるようになってからも注文が来るようになりました。(宣伝)

クラゲご宣伝ありがとうございます(笑)。そうすると、今年の夏はお忙しかったんじゃないでしょうか?

まぼろし洋品店 田端: もう、こんなに忙しい夏ははじめてでした。月に250枚とか注文が来たんですが、うちは「Tシャツくん」を使って一枚一枚手作業で作っているので追いつかなくて…。

クラゲまさにうれしい悲鳴とはこのことですね!商標Tシャツを見ていると、本当に格好いいデザインが多いんですが、このようなかっこいいデザインは「大正時代」に限ったことなんですか?あまり詳しくないんで、そこについてレクチャーしてもらっていいですか?

まぼろし洋品店 田端: よくぞ聞いてくださいました(笑)。明治時代の商標って割と江戸を引きずっていつつ中途半端に西洋の影響が入っていてちょっとダサい、昭和初期に入ってしまうとセンスのいいアールデコ調とか戦時色の強いものが多くなって全体的に面白みが無い、大正時代の商標ってそのバランスが絶妙なんですよ。奇妙なくらい西洋と日本がごちゃまぜになっていて、無意識にヘタウマでシュールだったり(笑)。

クラゲほー、そうするとまさに「大正時代」だからこそのデザインが多いんですね

まぼろし洋品店 田端: そうですね、昭和初期は割とセンスが良すぎるんです。明治はダサすぎる。で、大正時代はセンスがいいんだけどどこかズレてる。また、ダサイんだけどどこかカッコイイ。ご指摘の通り、まさに大正時代だったからこそ、このシリーズが産まれたんだと思います。偶然出会った本とはいえ、良い買い物をしたと思います。

クラゲいやー、本当にしびれるくらいかっこいいですよ



クラゲお客さんからの感想とかはどのようなものをいただいていますか?

まぼろし洋品店 田端: やはり全く受け付けないか、ものすごくハマってしまうかの二極化ですね。商標シリーズを買われたお客様でリピーターになる方がかなりの確率でいらっしゃいます。中には一人で13,4種類くらい買ってくださった方がいます。しかも商標のみ(笑)。

クラゲおー!それは猛烈なフアンの方ですね!購入される方はご年配の方が多かったりするんですか?

まぼろし洋品店 田端: いやそれがほとんど若い方みたいなんです、年齢を調べる方法が分からないのにあれなんですが(笑)。メールのアドレス名とか署名のデザインとかで推測するに、25~40歳くらいの方が多いですね、つまり30代の方がほとんどみたいです。同世代の方々に受け入れてもらえたのがやっぱり嬉しいです。

クラゲ田端さん自身は以前からTシャツには興味はございましたか?

まぼろし洋品店 田端: 好きでした、というか前にいた会社で作って販売したことがあるんです。その時は業者に頼んで作った熱転写プリントのTシャツなんですが。ガロ系の漫画が好きで、東陽片岡さん、逆柱いみりさん、根本敬さんのTシャツを作って販売しました。それはそれぞれ50枚づつ作っただけの小規模な販売でした。

私はもともと編集者なんですが、Tシャツ作りって編集の作業ととても似ていると思います。タイトルを考えたり、版下を作ったり、製版したり、色を決めるとか。Tシャツを一枚作るのと本を一冊作るのでは労力も経費もまったく違いますが、即時性とか大衆性といった意味ではTシャツの方が上かもしれませんね。

なにかムーブメントが起きた時の対応って、出版の世界がいつも一番遅いですから。

クラゲネット通販専門とのことですが、やってみていかがですか?思ったより大変だとかいろいろと感想や苦労があると思うのですが

まぼろし洋品店 田端: 最初はネットだけではまったく注文がこなかったので、いくつかの店舗にも置いてもらったんですがあまり売れませんでした。でも、名前が知れてくると強いですね、ネット通販は。

マメに更新するとそれなりに反応がありますし、代金引換郵便を使っているのでお金の回収も安心だし、やはりネット通販専門に近い形にして正解だったと思います。あと、作るのが早いというウリがありますので、「もう届きました!」みたいな反応のメールとかが来ると嬉しいという良さもあります(笑)。

クラゲそんな田端さんが気になるTシャツブランドがあれば教えていただいてもよろしいですか?

まぼろし洋品店 田端:ちくわぶ」さん「レッドバズーカ」さん「ハンバーグ009」さん「悪意1000%」さん等。パロディーものって全般的に好きなんです、時事ネタとか。タモリとか和田誠とか大貫卓也とか、クオリティーの高いパロディーが前から好きで、上記のブランドさんにはそういうクオリティーの高さを感じます。うちのシリーズはあまりそういうネタが出来にくいブランドなんで、憧れという意味もありますね。



クラゲでは、今後の目標を教えていただいてもよろしいでしょうか?

まぼろし洋品店 田端: 商標シリーズは今後も続けて、最終的には100種類くらいに増やしたいと思います。あと、そろそろ新シリーズをやりたいと思っています。また、意外な有名人とのコラボが早いうちに実現できればいいな~と。

クラゲそのコラボは現在進行中だったりするんですか?

まぼろし洋品店 田端: はい、ただしまだ本決まりではありません…(汗)。あと、期間限定的なTシャツよりも、スタンダードとして長く残るようなデザインのTシャツを作っていくのが夢ですね。ベストセラーよりもロングセラーをめざす、と。

クラゲ最後になりますがTシャツ部をご覧の方に一言いただいてもよろしいでしょうか?

まぼろし洋品店 田端: はい、弊店のTシャツはかなり奇妙で妖しいものばかりですが、その裏側にひそむ「無意識のカッコよさ」を読み取っていただければ幸いです!

クラゲ今日はありがとうございました!

まぼろし洋品店 田端: こちらこそ、このような機会を作っていただきましてありがとうございました。



対談はこれで終わりです。

初めてまぼろし洋品店さんのサイトを拝見したときに「これは好きな人にはたまらないデザインだろうな」と感じたのですが、お伺いするとやはり「中には一人で13,4種類くらい買ってくださった方がいます。しかも商標のみ」というお答えがいただけました。

また、編集者のご経験もあるということで「Tシャツ作りって編集の作業ととても似ていると思います」には僕も同感です。更には「即時性とか大衆性といった意味ではTシャツの方が上かもしれませんね」というTシャツクリエイターにはうれしいお言葉もいただけました。

ということで、今回ご協力いただいた「まぼろし洋品店」のサイトはコチラ。このインタビューを読んだ後にTシャツを見てみると、新しい発見があるかもしれませんよ。

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